
医院の悩みを解決するポイントは? 『心をつなぐコミュニケーション講座』
医療者、歯科医療者に向けての講座を開催します。
医療者・歯科医療者向け講座
こういうことはありませんか?
- ケース1:「次の治療は、何をするんですか?」診療室内で説明したことが、どういうわけだか頭に残っていないときって、何が起きているのだろうか。
- ケース2: なかなか生活習慣が変わらない患者さんに対して、どうすればいいのだろうか。
- ケース3: 医療チームとして、もっと機能させたい。 同僚の医療者に対して人間関係に悩みがある。
これらのような場面は、臨床現場ではよくみかけるものだと思います。
ケース1:どういうわけだか、説明を聞いたのに頭が真っ白になってしまっている患者さん
ケース1:診療室で説明をしたのに、会計時に再び聞く患者さん のような例を考えてみます。
忙しい日常臨床の場面。
同じ内容の説明を混雑している受付で行うことも難しい。
このような状況に対して、あなたの医院ではどのような対策がなされているでしょうか。
- 受付で、もう一度詳しく説明する
- 診療室内でわかりやすく、図や表などを使って説明する
- 先生では話しにくいような患者さんには、他のスタッフが代わりに担当する
- 話しやすそうな、リラックスして聞けると思われる方を担当にして、説明する
- 相談窓口を新たに設ける
- 持ち帰れる説明書、解説書などを手渡ししている
他にもいろいろな対策・対応を行っているでしょう。
あまりに頻発すれば、診療の妨げにもなってしまいますし、他の患者さんにも迷惑をかけてしまうかもしれません。
場合によっては、コンサルタントの方などからも色々なやり方を教えてもらっていることもあるでしょう。
どちらにしても、診療室内で患者さんにしっかり伝わるほうがいいですよね
これに対し、この講座では、こういう場合の『やり方』『ノウハウ』を伝えるわけではなく、
そのような状態になってしまう、コミュニケーションの状況を見ていきます。
例えば、
- 患者さんの辛さや不安な気持ちを気遣っていなかった
- 患者さんが先生任せで、処置内容に関心を持っていなかった
- 話す時に、患者さんが話を聞く余裕があるのかを見極めていなかった
など
その場面ごとの状態は違うかもしれませんが、
それを引き起こす、コミュニケーションの質は同じようなものになります。
そこで講座の中で、その質の部分をしっかり見ていくと
誰が説明しても、患者さんに説明が伝わる
ようになります。
ケース2:生活習慣など、行動変容を期待している場合
ケース2:生活習慣など、なかなかこちらの指導だけではうまくいかない場合など に対してはどうでしょうか。
これも日常臨床でよく見られる場面かもしれません。
歯科でいえば、歯磨き指導(TBI)
医科でいえば、禁煙指導や生活習慣指導などがこのような状況にあるでしょうか。
これに対しても、色々と工夫をされていますよね。
- その人の具体的な状況がわかるようにツールを使う。、歯磨き指導ではチャートを作って患者さんに説明したり、実際に磨いて見せて差を体感してもらったりする。
- なぜその習慣を変えないといけないのかを説明する。将来の予測がわかるもの(たばこの害など)について、病気のリスクを説明したり、変えることでの利点を話したりする。
- 同じ内容でも、切り口を変えて何回も話して見る
やり方を変えてみたり、伝わるようにと工夫してみたり。
でも、あまりに変わらない時には、『あの人はそういう人だから・・・』とか、
『生活習慣を変えるのは、難しいことだよね』とか。
経験からくる、色々な思い込みが作られているかもしれませんね。
そこで、講座の中では、
- この患者さんは「どうせやらないんだろうな」と内心は思っていた
- 納得すれば、行動変容は起こると思っていた
- 納得させるためには、わかりやすく説明をしていけばいいと思っていた。
- 患者さんがあなたにきらわれないために、口先だけで「やります」と言っていることに気づかなかった
など
こちらの思い込みから起こっていることもあります。
こちらの理論だけで、押し通していたのかもしれません。
相手の状態をつかみとれていなかったという場合もあるでしょう。
どちらにしても、コミュニケーションの質をみていくことで、
患者さんが自発的に行動する
ことが起こってきます。
ケース3:職場の人間環境
ケース3:医療チームとして、もっと機能させたい。 同僚の医療者に対して人間関係に悩みがある。 に対してはどうでしょうか。
これも似たような場面はいろいろ想像できるかもしれません。
スタッフ同士だったり、先生とスタッフ。スタッフから見た先生。
職種や、立場、状況によっても同じようにいろいろとありますよね。
これに対しても、色々と細かく指示を出して見たり、相手に伝わるように丁寧に話してみたり。
逆に、命令・指示があれば、組織は動くということから、情報の伝達に関して色々なシステムを入れてみたり。
ノウハウや試してみたり、研修を導入したり。
でも、色々やってみても、なかなかうまくいかないと、相手が悪いとか、話が聴けない人だとか、
相手のせいにしてしまうこともあるでしょう。
そこで講座の中では、
- 自分の気分や思いつきで、言うことがころころ変わっていた
- 言いにくいところを本人に伝えると、関係が悪くなると思っていた
- 伝えたのにやらないのは、行動しない相手が悪いとしていた
など
自分ではなかなか気づけないところ、
今は想像も気づくこともできないことに目を向けることで、劇的に状況が変わることがあります。
そうすると、
院内の意思の疎通がはかれ、仕事がスムーズに進むようになる
ということも普通に起こります。
改善点は
改善点は、当たり前と思っているあなたの価値観の中にあります。
この講座では、コミュニケーションを阻害している『あなたのポイントは何か』をみつけます。
その、『気づき』が、今まで悩み続けていた問題の解決につながります。
実際にコミュニケーションセンスを磨いてきた方の体験談です
- 相手が不安だったり、緊張をしているということがわかった。
それに対して、ただ聴くということで、患者さんが楽になったり話を聞けるようになったりしている。
そこから始める会話は、今までと違いすぐに本題に入ることができ、患者さんの主訴と思っていたことが本当は違うとか、気になっていることを早く把握できるようになった。
今までと違って、患者さんへの洞察力が上昇した。 - 相手が、”今”話を聴いてくれているとか、他のことを考えていて聴いてくれていないなとか、相手の状況がわかるようになった。
それを感じることで、患者さんに合わせて話せるようになった。
結果として、相手に的確に伝えられるようになった。 - このところ、患者さんから感謝されることがすごく多くなった。
今までと同じことをしているだけなのに。
意識して変えたところは、受け取るとか聞くとかというところ。
忙しい職場だから、時間をとって会話をかけれないけど、今まで以上に患者さんの受けがいいのは、素晴らしいこと。 - 子供の患者さんの診療に対しての態度が全然違う。
今までは、泣きわめいて待合室から診療室にも入ってこれなかったような子供が、自分から診療台に上るようになった。
治療自体はまだできないけど、汚れをとったり薬を塗ったりということはできるようになった。
子供の成長は早いなぁと思っていたけど、よく考えてみたら、このごろなく子供が極端に少なくなっている。 - 患者さんに伝えたいと思っていることがあってなんて話そうかと思っていたところ、患者さんの方から話を振ってきてくれるということが多くなった。
その分こちらの話もしっかり聴いてくれるので、『患者さんのために』という思いが今まで以上に強くなってきた。 - 今まではクレームだと思って感情いて気になっていたことも、実際にはただこちらに伝えたいこととして受け止められるようになった。
これだけでも、診療の質が変わってきているという実感がある。 - 軽度な精神疾患があるような患者さんに、このセンスを使って会話をすると、今までよりも落ち着いて会話ができるようになったり、それだけでも安定する方向に向かったのかなと思う。
もちろん、これだけで治るということは期待していないが、余計な薬を減らせたり、治療期間の短縮に向かえばと思う。
実際に介護でこのセンスを使って対応すると、今までと全く違った状況を創れるという話も聞いた。 - ここ最近全くクレームがない。
クレームだとしていた患者さんも、ただ聴くということをすることで、落ち着いてくる様子がわかる。
今までだとどうしようというような思いの方が強かったが、今では、センスを駆使しすれば関係を新たに創れるのかもと思う。 - 診療の前に、自分たち医療者側がどれだけクリアな状態、気分にむらがない状態であることが大切かが分かった。
こちらの心の乱れが、どういうわけか相手に伝わってしまうという体験をたくさんしている。
そういう時には、相手にどんなことを話してもこちらの思うようには伝わらないし、後でもう一度話をしなければいけないような状況になってしまったりもした。
逆に、自分の心の乱れがわかることで、常に最高な状態をキープできるようになってきている。
行動も早くなったし、やりたいこともサクサクできるようになった。
一つ一つの精度も上がってきている。 -
処置の正確さ、医療ミスの頻度、大きさも、今までにない位、良い状況になっている。
コミュニケーションが自分の行動のパフォーマンスまで左右するなんて考えもしなかった。 - 苦手な相手、嫌いな相手でも、新たな関係を創れるようになった。
苦手なままでもよくて、その状態でも関係が変わることで、欲しい結果が得られるということが分かった。
今までどれだけ感情に左右されて、機会を失っていたかと思うとちょっとショックだけど…
でも、これからは少しずつ変わっていけるかなって思えるようになってきた。 - スタッフに対して、こちらがして欲しいことを相手がわかるようにやさしく伝えても、全くやってくれなかった。
怠けているのか、能力がないのかと思っていた。
でも、それは違って、今では、こちらが言わなくても向こうから率先して行動を起こすようになっている。
動かない相手が悪いとしていたが、それは勘違いということがよくわかった。
スタッフに対してだけでなく、日常にも同じような状況があったので、そこに気づけてよかった。 - 院長や周りのスタッフとの関係が、どうしても苦手でした。
でも、少しずつですが、その状況が変わってきています。
敵だと思っていた看護師長は、実は、自分の味方側にいてくれたということにも気づけましたし。
職場の人間関係は、自分の力ではどうしようもないって思っていましたが、もちろんまだすごく嫌なこともありますが、それでもずいぶん変わりました。 - 自分自身が、医療に対して少し飽きていたところがあった。
今思えば患者さんにもスタッフにも申し訳ないことをしていたと思うけど、当時は、それが普通だった。
でも、今は医療に対してのやりがいも情熱も楽しさも味わいながら診療している。
ここに気が付けただけでも、人生のうちでかけがえのないものを気づけたと思っている。
感謝してます。 - ちょっと何か起こるとすぐに落ち込んでしまう状態だった。
そして、その状態が続いて、なかなか自分で起こせないでいた。
そんな自分が嫌だったし、どうにかしたかったし、それを認めたくないというジレンマですごく苦しかった。
でも、自分でコントロールする方法があり、それを駆使することで自分自身をデザインすることができるようになった。
すると落ち込むことも少なくなり、落ち込んでもその期間も深さも短く浅いものになってきた。
立ち上がりが早い分、クリアな状態が続くので、今ではすごく軽やかに生活ができている。 - 成功のためには、ワクワクしていなければとか明るくしていなければという事にとらわれていた。
でも、仕事でそれをすればするほど、自分自身が苦しくなってきていた。
自分ではないのを無理やりモチベーションを上げないと、気分を高揚させないととしていて、それを周りにも強要していた。
今では、それに縛られることが無くなったので、逆にモチベーションが下がっていても結果を出せたり、
無理に感情にゆだねることがない分、安定して結果を出すことができるようになった。
気分が上がっていても、逆に下がっていても結果が左右しないというのを知って、すごく楽になった。 - 日常生活に生かせている。大切なパートナーとの関係が変わってきた。
今までは、喧嘩が多かったり、言いたいことを言うときは、最終手段だと思っていたり。
何より、相手のいうことをしっかり聴けるようになったかな。
相手のことが聴けると、相手の感情も穏やかになってくるし。
その状態からこちらの思いや考えを伝えると、向こうもしっかり聴いてくれるようになってきたし。
すごくいい関係ができています。 - 言いにくいところを本人に伝えると、関係が悪くなると思っていた。
だから、大切だと思う相手ほど、なるべく相手の機嫌を損なわないように、耳触りのいいことしか言えなかった。
でも、その状態が、逆に相手との関係を壊していたり、欲しいものから遠ざけていたということに気が付いた。
今では、何でも言える安心感から、より深いところで相手とつながっている感じがして、すごく安定している。 - 実は両親との関係で悩んでいたのですが、それも少しずつ変わってきた。
両親から何か言われると、すぐに感情的になってしまったりしていた。
でも、今では素直に聞けるようになったり、もし感情がわいたとしてもそれに左右されることなく対応できるようになった。 - 苦手な相手と、どうしても会わなくてはいけない状況になると、今まではどういうわけかおなかが痛くなったりしていた。
うすうす気が付いていたけれど、どうしようもなかったから避けることを選んでいた。
今では、相手を好きになるということがなくても、おなかも痛くならないし会話も普通にできるようになった。 - 自分の子供との関係が全然違うものになってきた。
今までは、いうことを聞かない手の焼く子供だと映っていたし、どんなに叱っても言うことを聞かない状態だった。
今では、それが自分が創りだしていたものだということがよくわかった。
こちらが子供にして欲しいことを手放せた所から始まっているという実感がある。
時々、今までのくせも出るときもあるけど、それも一つとして手放すことができるようになってきたら、子供が、今まで以上に素直になってきた。
このまま育ってほしいと思うし、この関係を続けていこうと思う。
など
各種メディアにも取り上げられています

こちらからPDFファイルで見ることができます。

こちらからPDFファイルで見ることができます。
弊社が行っているコミュニケーションとは?

日本歯科新聞 2010年11月2日号(掲載、転載に関しては許可をいただいております)
に掲載された、ビジネスコーチ岸と弊社藤田との対談内容です。
新聞を直接見るときには、こちらから
コーチングの本質とスキルを知る ~禅・茶道に通じ日本にもマッチ~
経営改善や人材活性化に向けた取り組みとして、歯科医療現場の中でもコーチングというコミュニケーション技術が取り上げられている。
しかし、コーチングの本質とは何かを理解できている人は実は非常に少ないと思われる。
そこで、どういうスキルなのか、日本人になじむものなのか、歯科分野でどのように生かせるのかなど、
日本のコーチングの第一人者である岸英光氏と、医療分野を中心に活躍されている藤田菜穂子氏に話を聞いた。
岸 英光 氏
●岸事務所代表。CTN(コミュニケーショントレーニングネットワーク)統括責任者。千葉大学卒。人間関係や能力開発に関するセミナー・講演・研修を、さまざまな分野(企業、官公庁、自治体、学校、病院、各種団体)で展開中。『コーチングセンスが身に付くスキル』(あさ出版)ほか、著書・監修書多数。
藤田菜穂子 氏
●Clear Communication代表。CTNコーチング講座講師。武蔵大学卒。東京医科歯科大学口腔保健学科、川口市看護学校非常勤講師。コミュニケーショントレーナー・コーチとして、医療現場に即した「やり方」だけではないビジネスマナー講師として活動中。
指導でなくサポート
──コーチングとは、というところからお聞かせください。
岸 コーチというと、日本では「スポーツ」「スパルタ」といったイメージを浮かべることが多いようですが、もともとの語源は、馬車、もしくは馬車をコントロールする御者のことです。コーチングはその人が行きたい場所に早くスムーズに、かつ効果的に到着できるようサポートすることです。
例えば、「魚がほしい」というクライアントに魚の取り方を教えるのはティーチングです。それに対して、クライアントが魚を観察し特徴をつかんで、クライアント自身が魚を取る方法を編み出せるようにするのがコーチングです。するとその人は魚だけでなく、鳥やウサギも取れるようになります。そしてコーチは魚を取ったことがなくても、魚を取るコーチングができるのです。
あくまでも、何かを決めたり作り上げるのはクライアント自身です。コーチはコミュニケーションを通して、達成に向けてサポートをするのです。「ああしなさい、こうしなさい」と指示するのではなく、相手から答えを引き出すので、一般的には質問の技術と言われていますが、それ以上にその人の発想や行動を止めている枠を外し、気づきや触発を生む関わりをします。
──どのようなきっかけで、コーチングを学ばれたのですか。
岸 1990年代の始めごろ、あるメーカーに勤めていた時に、コーチングセンスで大きな結果を出している数人のアメリカ人と関わる機会がありました。そのころ、すでに世界では当たり前のスキルとしてさまざまな分野で活用されていたのですが、日本では知られていませんでした。
そして、彼らからコーチングについて教えられたわけではなく、「どうしたら人が伸びるか」「どういうコミュニケーションが人を動かし、逆に止めるのか」と、まさに私自身がコーチングを編み出すためのコーチングを受けたのです。
実は日本発!?
──コミュニケーション技術の中には、どうしても日本人にはなじまないものも多いように感じますが。
岸 コーチングのセンスを深く探究すると、日本の禅、武士道、武道、茶道と同じ感覚であることが分かってきました。戦国武将は茶室で、思考や感情をクリアにしていました。そして茶人の千利休は豊臣秀吉にとってコーチのような存在だったようです。また、禅問答もしかり、です。それが欧米で会話の技術として体系化され、逆輸入されたのではないかと思えるほどです。そのため本質的な感覚さえつかめれば、日本人の方が結果を出しやすいのではないかと思います。
──現在、どのような分野でコーチングをされていますか。
岸 官公庁、企業、病院、学校、介護や子育ての場など、分野は限定されていません。年間に全国で400回近い講演や研修を行っています。
──藤田さんは、医療の現場を中心としてコーチングをされているとのことですが、いつごろから始めたのでしょうか。
藤田 大学で社会学を学び、卒業研究は「歯科医療の社会学」でした。その後、歯科衛生士となりました。大きな病気をした際に医師の対応に憤りを感じる患者としての体験もしました。2002年からは歯科医院に勤務しながら、臨床現場での経験をふまえ、講師・コーチとして活動を始めました。
──コーチングの実践を学ばれたのは岸コーチからですか。
藤田 出合いは岸コーチの本(『プロコーチのエンパワーメントコミュニケーションの技術』でした。本を読んで「私が講師として伝えたいことと同じだ。しかも、とっても分かりやすい」と感動しました。その後、岸コーチの講座を受講しました。そして岸コーチがそうであったように、私も岸コーチから「どのようにしたらクライアントがコーチングセンスを深くつかみ、軽やかに結果を出すことができるのか」をコーチしてもらいました。
発想や行動が変わる
──コーチングの優れた点はどのようなところだとお考えですか。
岸 人が本来持っている能力を制限しているパラダイム(価値観の枠組み)を外し、開放できることです。
例えば介護の現場で、「わしみたいなのが今更元気になってもしょうがない……」と、リハビリをやる気のない高齢者に対し、説得するのではなく「もし歩けるようになったら、したいことはありますか?」「誰とどこに行きたいですか」など問いかけると、「孫と買い物に行きたい」などの希望を持つようになり、積極的にリハビリに取り組むようになります。リハビリをする気がないわけではなく、自分自身の思いや意図に無自覚であることで、能力を制限しているだけなのです。
また、経営者が、「今回のケースは、さすがにお手上げです。私には全く打つ手なしです」と言ったとします。それに対し、あらかじめ聞いておいたその経営者の尊敬する方の名を上げ、「では、松下幸之助さんだったら、こういう時どうすると思いますか」と問いかけます。すると「うーーん。これこれこういう方法を取るかもしれません」などと、ちゃんと案が出てきたりするのです。
つまり、松下幸之助氏に実際にそのようなケースがなくても案が出るということは、その経営者自身が発案したということです。自分では無理だと感じていたその人が主語を変えるだけで、突破口を発見したり、今までできなかった発想や行動をすることができるのです
──モチベーションを上げるということとは少し違うようですが。
岸 確かに違いますね。よく、「やる気を出せ!」「自信を持て!」と心理的な刺激で人を動かそうとします。しかし、感情と行動は、必ずしもつながっているわけではありません。
例えば、こんな例があります。人前に出るのが全くダメだったいちOLが、その「怖い」という気持ちを持ったまま舞台女優として成功しました。怖いという気持ちをなくすわけではなく、ただ感情と行動を分けたのです。人は気持ちと行動を分けると、やる気や自信がなくても行動ができるようになるのです。
言葉と本心の一致
──歯科の場合、どのような依頼が多いのでしょうか。
藤田 「増患」「TBIの効果を高める」「クレーム対応、組織の活性化」などですね。(実例は左上のコラムを参照)
また実際に医院に訪ねると、良い意味でも悪い意味でも、院長が医院やスタッフに対して抱いているイメージと現実が異なることが少なくありません。
とても印象の良い受付の方について、「彼女はコミュニケーションが苦手で……」と院長から言われて驚いたことがありました。なぜそう思ったかを院長に尋ねると、実際に見てそう感じたわけではなく、「本人が僕に『私はコミュニケーションが苦手です』と言ったから」とのこと。
このような事実と思い込みとのギャップを発見し、なくすことにコーチングは有効です。
──コーチングが困難な例はありますか。
藤田 「患者さん第一」と言いながら、本心では収益や規模の拡張の方を重視するなど、言葉と本心の間にギャップがある場合ですね。院長がこの不一致を自覚していなくても、スタッフには伝わるので「いくら言ってもスタッフが動かない」状態であることが多いです。
その場合「医院の方向性」についてコーチすると、院長自身が自分の中の不一致に気づき、一致する方向に向かいます。すると言葉に迫力が増し、スタッフに触発が生まれ、適切な行動が起こるようになります。
岸 一般的に、男性のほうが言葉と心が一致していないことや、思い込みと異なる事実を目にしても、パラダイムが邪魔をして現実を認識できないことが多く見られます。コーチングではその人のパラダイムを外し、正しく現実を見ることができるようにします。
「学習型組織」へ
──コーチングにより、歯科医院にはどのような成果がありますか。
藤田 スタッフのわだかまりやストレスと行動とを分けることで、スタッフや患者さんが定着するようになったりします。
──具体的には。
藤田 例えば自費のメンテナンスを患者さんに勧める場合、院長からスタッフに一方的に強要されたものであれば、スタッフの気持ちも重くなりますし、患者さんにそのスタッフの重さや場の雰囲気は必ず伝わってしまいます。そして、医院から足が遠のいてしまうことがあるのです。
このような場合、「スタッフが(抵抗感などの)思いを正直に話す」「院長はそれを反論したくなる反応を横に置き、ただ聴く」という医院全体のグループコーチングを行うと、院長に「スタッフに強要するような態度だったかもしれない」と気付きが起こります。そして、スタッフにその気持ちを伝えると、スタッフはわだかまりがないクリアな状態となり、「こんなタイミングで、こういう風に説明してみたらどうだろう」と自ら発想し始め、行動に移すようになります。人はそれまでの機能しないパラダイムが外れると、行動に対する態度や姿勢が変わり、その人の最高のパフォーマンスが出るようになるのです。
こういう変化は当然患者さんに好意的に受けとられます。するとスタッフも自分から勉強をしたり主体性や責任感を持って行動する「学習型組織」となります。
探究精神を生む
──一度コーチングセンスが身に付くと、あらゆることに活用できるのですね。
藤田 仕事に限らず私生活でも、軽やかに行動できるようになり、さまざまな可能性が広がります。
──コーチングをする側に求められる資質はどのようなものですか。
岸 安易なノウハウや知識で物事を扱おうとしないことです。自らチャレンジし、ものごとを探究することで、パラダイムを外して、結果を作り続けていることに関心を持っていることです。
コーチング的対応・事例
歯科衛生士⇔患者さん
定期健診に訪れた患者さん。みがき残しがかなり見られたため、指導しなければならないと考えたが……
▲一般的なTBI
「ここは磨き残しですね!」
⇒患者さんには、ダメ出しされた気持ちが強く残ってしまうもの。「自分が完ぺきじゃないのは分かっているから定期的に来ているのに……」と、反発心を感じる
●コーチング発想のTBI
「ここ、きれいに落ちていますね」の後に、「ここは付いていますね」
⇒患者さんには「できているところがある」と、プラスの感情が残る。その後、できている、できていないの評価ではなく「ここに付いていますね」と再び事実を伝える。すると患者さんは「確かに付いているな。それではどうしよう?」と、感情に基づかず、自発的に行動を起こすことにつながる
院長⇔患者さん
統合失調症の患者さんが、診療風景をビデオカメラで撮影。「ネットで調べたが、この支台歯形成は削りすぎだ。説明しろ。このビデオは証拠として使う」とものすごいけんまく……。
▲一般的な対応
怒鳴り返すか、治療の正当性を主張する
⇒このように、患者さんの不合理な対応に、思わず感情的になって対応することが多いと思われる。しかし、患者さんにとっては感情を押さえつけられたり、言いくるめられる体験でしかなく、落ち着いたり、信頼関係を作ることにはつながらない
●コーチング発想の対応
感情を横におき、相手の話をただ聴く
⇒患者さんは、思いのほか落ち着いてくることが多い。コーチング発想は、クレーム対応、精神疾患、認知症などの方とのコミュニケーションにも役立つ
医療者自身
仕事に対するやる気が出なくて、なかなか行動を起こせない……。
▲一般的な思考・行動パターン
やる気が出ないから、仕事も進まない
⇒仕事がうまくいった時でも一瞬しか喜べず、「でも、この部分はできていないし…」とほかのできていないところが次々に目についてしまう。そして落ち込む自分を責めて仕事が滞ってしまう
●コーチング発想の思考・行動パターン
落ち込んでいる。そして仕事は進めよう
⇒落ち込んでしまう自分を責めるのではなく、受け入れる。その上で、「仕事したくない」という感情と行動を分けることで、仕事を進めていくことができるようになる
- 11/03/10
歯科コンピュータ協会主催で、公開講座を行います
日程などは、こちらから- 11/03/08
大阪にて3月から連続講座を開催
- 11/02/09
東京にて 3月より、コーチングライブを開催します。

